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気管支喘息は何科を受診すべき?大人と子供で違う?原因や治療法も解説

咳が長引いている、夜中に息苦しくなる、ゼーゼーという音が聞こえる。このような症状が続くとき、多くの方が「気管支喘息かもしれない」と考えますが、何科を受診すべきか迷われることも多いでしょう。

実は、気管支喘息の受診先は年齢によって大きく異なります。適切な診療科を選ぶことで、より早く正確な診断と効果的な治療を受けることができます。

当院では、内科・アレルギー科の立場から多くの喘息の方々を診察してきました。本記事では、大人と子供それぞれの適切な受診先、気管支喘息の原因や治療法について、実際の診療経験を交えながら詳しく解説します。

気管支喘息の基本

気管支喘息について正しく理解していただくため、まずは基本的な知識から確認していきましょう。適切な受診科を選ぶためにも、症状の特徴を把握することが重要です。

気管支喘息とは何か

気管支喘息は、気道の慢性的な炎症により気道が狭くなる病気です。日本では数百万人が罹患していると推計されており、決して珍しい病気ではありません。

気道の炎症により、空気の通り道である気管支が腫れ、粘液の分泌が増加します。さらに気管支を取り囲む筋肉が収縮することで、呼吸が困難になる特徴的な症状が現れます。

主な症状と特徴

気管支喘息の代表的な症状は以下の通りです。これらの症状は、風邪などの呼吸器感染症とは異なる特徴を示します。

症状特徴出現タイミング
慢性的な咳乾いた咳が2週間以上続く夜間や早朝に悪化
喘鳴(ゼーゼー音)呼吸時にヒューヒュー、ゼーゼーという音息を吐くときに特に明瞭
息苦しさ階段昇降や軽い運動でも呼吸困難発作時に急激に悪化
胸の締め付け感胸を圧迫されるような感覚ストレスや疲労時に増強

当院では、これらの症状を詳細に問診することで、他の呼吸器疾患との鑑別を行っています。特に夜間の咳や運動時の息切れは、気管支喘息を疑う重要なサインとなります。

大人と子供の症状の違い

気管支喘息の症状は、年齢により現れ方が異なります。子供の喘息は思春期までに軽快することも多いですが、大人の新規発症は慢性化しやすいと言われています

  • 子供の特徴:風邪をきっかけに発症することが多く、アレルギー性の要因が強い
  • 大人の特徴:非アレルギー性が多く、ストレスや職業性要因による発症が見られる
  • 高齢者の特徴:COPDとの合併や、薬物性喘息の可能性も考慮が必要

気管支喘息は何科を受診すべきか

気管支喘息の受診科は、年齢と症状の程度により適切な選択が異なります。ここでは、具体的な受診先と選び方のポイントを詳しく解説します。

大人(18歳以上)の受診先

大人の気管支喘息は「内科」または「呼吸器内科」または「アレルギー科」が最適な選択肢です

当院では、まず内科的に初期評価を行うとともに、必要に応じて呼吸器内科の専門医と連携しています。症状の程度や原因に応じて、最適な治療方針を決定することが重要です。

子供(18歳未満)の受診先

子供の気管支喘息は、発達段階や体重に応じた治療が必要なため、「小児科」の受診が基本となります

子供の場合、成長に伴う体重変化や思春期の影響を考慮した長期的な治療計画が必要です。また、学校生活への影響を最小限に抑える治療法の選択も重要な要素となります。

緊急時の受診先

喘息発作が起きた場合の対応についても理解しておくことが大切です。重篤な呼吸困難や意識障害がある場合は、迷わず救急外来を受診してください

気管支喘息の原因と発症メカニズム

気管支喘息の原因を正しく理解することで、効果的な治療法の選択と予防対策が可能になります。ここでは、多様な原因とその発症メカニズムについて解説します。

アレルギー性喘息

アレルギー性喘息は、特定のアレルゲンに対する過敏反応により発症します。子供の喘息の約80%、大人の喘息の約40%がアレルギー性とされています。

  • 室内アレルゲン:ダニ、カビ、ペットの毛、ゴキブリなど
  • 屋外アレルゲン:花粉(スギ、ヒノキ、ブタクサなど)
  • 職業性アレルゲン:化学物質、粉じん、動物由来物質など

当院では、血液検査によるアレルゲン特定検査を実施し、個々の方に応じたアレルゲン回避指導を行っています。アレルゲンを特定することで、環境整備による症状改善が期待できます。

非アレルギー性喘息

大人に多く見られる非アレルギー性喘息は、様々な要因により気道の炎症が引き起こされます。

原因分類具体例特徴
感染性ウイルス、細菌、真菌感染風邪症状に続発して発症
薬剤性アスピリン、NSAIDsなど薬剤服用後30分〜3時間で発作
職業性化学物質、粉じん曝露職場環境と症状に関連性あり
運動誘発性激しい運動後の発作運動後数分で症状出現

遺伝的要因と環境要因

気管支喘息の発症には、遺伝的素因と環境要因の相互作用が関与しています。家族歴がある場合、発症リスクは約2〜3倍高くなります

  • 遺伝的要因:アレルギー体質、気道過敏性の遺伝
  • 環境要因:大気汚染、喫煙(受動喫煙含む)、住環境
  • 生活習慣要因:ストレス、睡眠不足、食生活の偏り

当院の診療では、家族歴や生活環境についても詳しく問診し、個別のリスク評価を行っています。これにより、より効果的な予防策と治療方針を提案することができます。

診断の流れ

気管支喘息の正確な診断は、適切な治療の第一歩です。ここでは、実際の診療現場で行われる診断プロセスと各種検査について詳しく説明します。

問診と身体診察

気管支喘息の診断において、問診や診察は最も重要な要素の一つです。症状の特徴や発症パターンを下記にまとめました。

問診項目確認内容必要性
症状の特徴咳の性状、喘鳴の有無、息苦しさの程度他疾患との鑑別に必須
発症パターン季節性、時間帯、誘因の有無原因特定に重要
家族歴アレルギー疾患、喘息の家族歴遺伝的素因の評価
生活環境住環境、職場環境、ペット飼育環境因子の特定

これらの所見は、重症度評価や治療方針の決定に重要な情報となります。

呼吸機能検査

呼吸機能検査は、気管支喘息の客観的な診断と重症度評価に欠かせない検査です。特にスパイロメトリーによる肺機能測定は、診断の確定に重要な役割を果たします。

  • スパイロメトリー:肺活量や1秒率を測定し、気道閉塞の程度を評価
  • ピークフロー測定:最大呼気流量を測定し、日内変動を確認
  • 気道可逆性試験:気管支拡張薬投与前後の変化を比較

※当院では呼吸機能検査は実施しておりませんので、必要な方には大学病院や救急病院を紹介させていただきます。

血液検査とアレルゲン検査

血液検査では、アレルギー反応の指標や炎症の程度を評価します。特にアレルゲン特定検査は、治療方針の決定に重要な情報を提供します。

検査項目目的正常値
総IgE値アレルギー体質の評価年齢により異なる(成人:170IU/mL以下)
特異的IgE特定アレルゲンの特定各アレルゲンにより判定基準が異なる
好酸球数アレルギー炎症の評価全白血球の1〜5%

アレルゲン検査では、ダニ、花粉、食物など約40種類のアレルゲンを一度に調べることができます。結果に基づいて、効果的なアレルゲン回避指導や免疫療法の適応を検討します。

気管支喘息の治療法

気管支喘息の治療は、症状のコントロールと将来の発作予防を目的とした長期管理が基本となります。ここでは、現在の標準的な治療法について詳しく解説します。

長期管理薬(コントローラー)

吸入ステロイド薬は気管支喘息治療の第一選択薬です。気道の炎症を抑制し、発作の予防に優れた効果を示します。

薬剤分類代表的な薬剤主な作用
吸入ステロイド薬ブデソニド、フルチカゾンなど気道炎症の抑制
長時間作用性β2刺激薬サルメテロール、フォルモテロールなど気管支拡張作用の維持
ロイコトリエン受容体拮抗薬モンテルカスト、プランルカストなどアレルギー反応の抑制

当院では、各方の症状や重症度に応じて、これらの薬剤を組み合わせた治療を提案しています。定期的な受診により、効果と副作用を評価しながら最適な治療を継続します。

発作治療薬(レリーバー)

急性発作時には、迅速な症状緩和を目的とした発作治療薬を使用します。短時間作用性β2刺激薬の吸入は、発作時によく行われる治療です

  • 短時間作用性β2刺激薬:サルブタモール、プロカテロールなど
  • 抗コリン薬:イプラトロピウムなど(重症発作時に併用)
  • 全身ステロイド薬:プレドニゾロンなど(重症発作時の短期使用)

発作治療薬は症状改善のための一時的な使用に留め、根本的な治療は長期管理薬で行うことが重要です。発作頻度が増加している場合は、長期管理薬の見直しが必要となります。

生物学的製剤による治療

重症アレルギー性喘息に対しては、近年開発された生物学的製剤が選択肢となります。従来の治療では十分にコントロールできない場合に検討されます。

薬剤名作用機序適応
オマリズマブIgE抗体の中和重症アレルギー性喘息
メポリズマブIL-5の阻害好酸球性喘息
デュピルマブIL-4/IL-13の阻害2型炎症性喘息

これらの治療法は高い効果が期待できる一方、高額な治療費がかかるため、適応の慎重な検討が必要です。当院では、専門医と連携しながら最適な治療選択を行っています。
※当院は生物学的製剤を取り扱っておりませんので、必要な方には大学病院や救急病院を紹介させていただきます。

実際の診療事例

実際の診療現場での経験を通じて、適切な受診タイミングと効果的な治療について具体的な事例をご紹介します。これらの事例から学ぶポイントを確認しましょう。

大人の気管支喘息(40代男性)

長引く咳で内科を受診したが改善せず、当院で気管支喘息と診断された事例です。適切な受診先選択の重要性を示しています。

40代の営業職の男性が、3週間続く乾いた咳を主訴に来院されました。最初は近所の内科クリニックで風邪と診断され、咳止めや抗生剤を処方されましたが改善しませんでした。

診療の流れ実施内容結果
初診時問診夜間の咳、家族歴、職場環境の確認アレルギー性鼻炎の既往、父親の喘息歴
診察所見胸部聴診で喘鳴の有無を聴取気道狭窄あり
血液検査IgE、特異的IgE検査ダニ、ハウスダストに強い反応
治療開始吸入ステロイド薬の処方2週間で症状著明改善

この事例では、早期に受診いただくことで、適切な診断と治療開始が可能となりました。現在は月1回の定期受診で良好なコントロールが得られています。

小児気管支喘息(5歳男児)

夜間の咳とゼーゼーという音で小児科を受診し、迅速な診断と治療により症状がコントロールされた事例です。小児科での専門的な対応の重要性が示されています

  • 主訴:夜中の咳き込み、呼吸時のヒューヒュー音
  • 既往歴:アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎
  • 診断:小児気管支喘息(軽症持続型)
  • 治療:吸入ステロイド薬(年齢に応じた用量調整)
  • 経過:3か月後に夜間症状が消失、運動制限も解除

小児の場合、成長に伴う薬物代謝の変化や体重変化を考慮した治療調整が必要です。また、保護者への十分な説明と吸入指導も治療成功の重要な要素となります。

受診時に準備すべき情報

効果的な診療のために、受診前に以下の情報を整理しておくことをお勧めします。当院では、これらの情報により迅速で正確な診断が可能になります。

カテゴリー内容必要性
症状の記録咳の性状、発生時間、持続期間診断の根拠となる重要な情報
誘因の把握運動、天候、ストレスとの関連原因特定と治療選択に必要
家族歴両親・兄弟のアレルギー疾患歴遺伝的素因の評価
現在の治療服用中の薬剤、これまでの治療歴治療方針の決定に重要

よくある質問と回答

気管支喘息について、多くの方が抱かれる疑問や不安にお答えします。これまでの当院での診療経験に基づいて、実用的な情報を提供いたします。

咳だけでも気管支喘息の可能性はありますか?

A: はい、咳だけが主症状の「咳喘息」という病態があります。当院でも実際に、咳だけを主訴とする方も多く受診されます。診察所見や治療薬への反応を確認することで、適切な診療を行っています。放置すると典型的な喘息に進行する可能性もあるため、早期の診断と治療が重要です。

子供の気管支喘息は成長とともに治りますか?

A: 小児気管支喘息は思春期までに軽快する例が多いとされています。しかし、完全に治癒するわけではなく、適切な管理により症状がコントロールされた状態と考えられています。

  • 軽快のサイン:発作回数の減少、運動制限の解除、薬物治療の減量
  • 注意点:成人後に再発する可能性があるため、定期的な経過観察が必要
  • 管理のポイント:アレルゲン回避、適度な運動、規則正しい生活

吸入薬を毎日使っても大丈夫ですか?

A: 吸入ステロイド薬は、適切に使用すれば長期間の使用でも安全性が確認されています。むしろ、中断することで症状の悪化や発作のリスクが高くなります

当院では、定期的な診察により効果と副作用を評価し、必要に応じて治療内容を調整しています。吸入薬の正しい使用法の指導も重要で、効果的な治療のために丁寧な説明を行っています。

大人になってから初めて喘息になることはありますか?

A: はい、大人になってから初めて気管支喘息を発症することは珍しくありません。成人発症喘息は全喘息の半分程度を占めているとされており、非アレルギー性の要因による発症が多い特徴があります

発症要因特徴対策
職業性要因化学物質や粉じんへの曝露職場環境の改善、マスク着用
感染後ウイルス感染後の持続性炎症感染症の適切な治療
薬剤性NSAIDs服用後の発症原因薬剤の回避

運動をしても大丈夫ですか?

A: 適切な治療により症状がコントロールされていれば、運動制限は不要です。むしろ、適度な運動は心肺機能の向上や体力維持に重要です

ただし、運動誘発性喘息がある場合は、運動前の気管支拡張薬の使用や運動強度の調整が必要です。ご不安な方はぜひ当院にご相談ください。

まとめ

気管支喘息の受診先は、年齢と症状に応じて適切に選択することが重要です。

早期診断と適切な治療により、多くの方が正常に近い生活を送ることが可能です。症状が気になる場合は、自己判断せずに医療機関を受診し、個別の病状に応じた治療を受けることをお勧めします。

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監修医師:峰岸 真史
医師/医療法人社団峰真会 理事長。内科・皮膚科・アレルギー科を専門とするステーションクリニック東大宮(さいたま市見沼区)の創業者であり、開院後4年間で来院者数は35,000人超。国内外の診療ガイドラインや学術論文を根拠にしつつ、日々の診療で得た知見を分かりやすくまとめ、皆様に医療をもっと身近に感じていただけるような記事作成を心がけています。
[所属学会]日本内科学会、日本アレルギー学会、日本循環器学会、日本呼吸器学会、日本消化器病学会、日本消化管学会、日本外科学会、日本臨床外科学会、日本美容皮膚科学会

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