高血圧と診断された方や血圧が高めの方にとって、日々の食事選びは非常に重要です。「何を食べてはいけないのか」「どの食品が最も血圧に悪影響を与えるのか」という疑問を持つ方は少なくありません。
実際に当クリニックでも、高血圧の皆様から「普段よく食べているものが実は血圧に悪いと知らなかった」「具体的にどの食品を避ければよいのか教えてほしい」といったお話しを多数いただきます。
本記事では、医師の視点から高血圧に悪い食べ物をランキング形式でご紹介し、なぜその食品が血圧に悪影響を与えるのか、そして実践的な食生活改善のコツまで詳しく解説いたします。
高血圧と食事の関係性
高血圧の管理において、食事療法は薬物療法と並ぶ重要な治療の柱です。血圧は体内の塩分量、血管の状態、血液の粘度など様々な要因によって左右されますが、これらすべてが日々の食事と密接に関わっています。
塩分の影響
塩分の過剰摂取は血圧上昇の最大の要因とされています。塩分を摂りすぎると、体内の水分量が増加し、血管内の血液量が増えることで血圧が上昇します。日本高血圧学会では、高血圧の方の塩分摂取量を1日6g未満に制限することを推奨しています。
脂質・糖分・アルコールの影響
塩分以外にも、動物性脂肪の過剰摂取は血管の弾力性を低下させ、糖分の摂りすぎは高血圧リスクを高める可能性があります。また、アルコールは適量であれば血管拡張作用がありますが、過剰摂取は血圧上昇を招きます。
日本人の食生活の現状
厚生労働省の調査によると、日本人の平均塩分摂取量は男性で約10.5g、女性で約9.0gと、高血圧の方の推奨量である6gを大幅に上回っています。この現状を踏まえ、意識的な食事改善が必要不可欠です。
項目 | 日本人平均摂取量 | 高血圧の方の推奨量 |
---|---|---|
塩分(男性) | 10.5g/日 | 6.0g未満/日 |
塩分(女性) | 9.0g/日 | 6.0g未満/日 |
アルコール | 個人差大 | エタノール換算で男性20-30mL以下/日・女性10-20mL以下/日 |
高血圧に悪い食べ物ランキングTOP7
当クリニックでの診療経験と医学的エビデンスを基に、高血圧に最も悪影響を与える食べ物をランキング形式でご紹介します。順位は血圧への影響度、摂取頻度、改善の困難さを総合的に評価して決定しました。
1位:塩分の多い加工食品・インスタント食品
カップラーメン1杯で塩分約5-6gと、1日の推奨量に匹敵する量が含まれています。ハム、ソーセージ、かまぼこなどの加工肉類も塩分含有量が非常に高く、日常的に摂取している方は要注意です。
実際に当クリニックでは、毎日カップラーメンを食べていた50代男性の方が、インスタント食品を控えただけで収縮期血圧が20mmHg下がったケースもあります。
2位:醤油・味噌・塩などの調味料
醤油大さじ1杯で約2.6g、味噌汁1杯で約1.2-1.5gの塩分が含まれています。普段何気なく使っている調味料こそが、塩分摂取量を押し上げる主犯格といえるでしょう。
3位:ファストフード・外食メニュー
ハンバーガーセット1食で塩分約3-4g、ラーメン1杯で約6-8gと、外食は総じて高塩分です。さらに揚げ物が多いため、動物性脂肪の摂取量も増加します。
4位:アルコール飲料
適量を超えるアルコール摂取は血圧上昇の原因となります。エタノール換算で1日20-30mL以下(ビール500mL、日本酒1合程度)が目安です。
5位:糖分の多い食品・飲料
清涼飲料水、お菓子、果物の缶詰などは、血糖値の急激な上昇を招き、インスリン抵抗性などを介して間接的に血圧上昇につながります。特にペットボトル飲料には想像以上の糖分が含まれています。
6位:カフェインの多い飲み物
コーヒー、紅茶、エナジードリンクなどに含まれるカフェインは、一時的に血圧を上昇させる作用があります。1日2-3杯程度なら問題ありませんが、過剰摂取は避けましょう。
7位:動物性脂肪の多い食品
バター、チーズ、脂身の多い肉類などは、血管の弾力性を低下させ、動脈硬化を促進する可能性があります。完全に避ける必要はありませんが、摂取量を意識することが大切です。
順位 | 食品カテゴリー | 主な問題成分 | 影響度 |
---|---|---|---|
1位 | 塩分の多い加工食品 | 塩分 | 非常に高い |
2位 | 調味料類 | 塩分 | 非常に高い |
3位 | ファストフード | 塩分・脂質 | 高い |
4位 | アルコール飲料 | エタノール | 高い |
5位 | 糖分の多い食品 | 糖分 | 中程度 |
6位 | カフェイン飲料 | カフェイン | 中程度 |
7位 | 動物性脂肪食品 | 飽和脂肪酸 | 中程度 |
見落としがちな高血圧に悪い食品
多くの方が健康に良いと思って摂取している食品の中にも、実は高血圧に悪影響を与えるものがあります。ここでは、そうした「隠れた悪玉食品」についてご紹介します。
野菜ジュース
市販の野菜ジュース200mLには約1g程度の塩分が含まれていることがあります。「健康のために」と毎日飲んでいる方は、意外な塩分源となっている可能性があります。野菜ジュースを控えただけで血圧が改善する事例もあります。
パン
食パン6枚切り1枚で約0.8g、菓子パン1個で約1-2gの塩分が含まれています。朝食にパンを食べる習慣がある方は、知らず知らずのうちに塩分を摂取していることになります。
漬物・佃煮類
お茶請けとしてよく食べられる漬物ですが、きゅうりの漬物小鉢1杯で約1.5g、佃煮大さじ1杯で約1gの塩分が含まれています。少量でも塩分濃度が非常に高いため要注意です。
お寿司・刺身の醤油
お寿司や刺身を食べる際の醤油使用量は意外と多く、1回の食事で2-3gの塩分を摂取することもあります。つける醤油の量を減らすなどの工夫が効果的です。
食生活改善の実践的なコツと成功事例
高血圧に悪い食べ物を知るだけでは不十分です。実際に食生活を改善し、継続するための具体的な方法をご紹介します。当クリニックでの成功事例も交えながら解説いたします。
減塩調理
だし・香辛料・酸味を活用することで、塩分を減らしても美味しく調理できます。昆布だし、かつおだし、しいたけだしなどの旨味成分を効果的に使いましょう。
実際に当クリニックを受診された60代女性の方で、従来の半分の塩分量でもむしろ素材の味が感じられて美味しいと感じるようになり、血圧が改善された方がいらっしゃいます。
外食・コンビニ利用時
完全に外食を避けることは現実的ではありません。外食時は以下のポイントを意識しましょう。
- 定食よりも単品料理を選ぶ:味噌汁や漬物を避けられます
- ドレッシングは別添えを選択:使用量をコントロールできます
- 麺類のスープは残す:塩分の大部分はスープに含まれています
- 焼き魚や蒸し料理を選ぶ:揚げ物より塩分・脂質が少なめです
家族と一緒に取り組むコツ
高血圧の食事管理は、家族の協力が不可欠です。「患者だけ別メニュー」ではなく、「家族全員で健康的な食事」に切り替えることで、継続しやすくなります。以下に食事管理の例を示します。
改善項目 | 従来の方法 | 改善後の方法 | 効果 |
---|---|---|---|
味噌汁 | 毎食1杯 | 2日に1杯、具を多めに | 塩分0.7g/日削減 |
醤油 | 直接かける | 小皿に取り分け | 塩分1.0g/日削減 |
漬物 | 毎食摂取 | 週2-3回に削減 | 塩分1.5g/日削減 |
パン | 菓子パン中心 | 無塩パンに変更 | 塩分0.8g/日削減 |
よくある質問と回答
Q: 果物も糖分が多いから避けた方がいいですか?
A: 果物に含まれる果糖は確かに血糖値に影響しますが、果物には血圧を下げる効果のあるカリウムも豊富に含まれています。バナナ、オレンジ、キウイなどは適量であれば推奨されます。ただし、缶詰の果物は糖分が添加されているため避けましょう。
Q: 減塩醤油や減塩味噌なら安心ですか?
A: 減塩調味料は確かに通常品より塩分が少ないですが、「減塩だから多く使っても大丈夫」という考えは危険です。使用量そのものを意識的に減らすことが重要です。可能であれば、計量スプーンを使って調味料の使用量を管理することをお勧めしています。
Q: 高血圧の薬を飲んでいれば食事制限は不要ですか?
A: 薬物療法と食事療法は相互補完的なものです。薬を服用していても、食事制限を怠ると薬の効果が十分に発揮されない場合があります。また、食生活を改善することで薬の減量や中止につながるケースもあります。
Q: 外食が多い生活では血圧管理は無理ですか?
A: 外食中心の生活でも工夫次第で血圧管理は可能です。メニュー選択のコツを覚え、1日の総塩分量を意識することが大切です。当院では、営業職で忙しく外食が多い方でも血圧改善に成功した事例が複数あります。
まとめ
高血圧に悪い食べ物は、塩分の多い加工食品や調味料を筆頭に、私たちの身近にある食品が多く含まれています。特に日本人の食生活では、知らず知らずのうちに推奨量を大幅に上回る塩分を摂取している現状があります。
しかし、食生活の改善は決して不可能ではありません。だしや香辛料を活用した減塩調理、外食時のメニュー選択の工夫、家族全体での取り組みなど、実践的な方法を継続することで、確実に血圧改善につながります。
当クリニックでも多くの皆様が食生活改善により血圧を安定させており、QOL(生活の質)の向上を実感されています。まずは小さな変化から始めて、徐々に健康的な食習慣を身につけていきましょう。
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