手足のしびれを感じると、多くの方が「何か重大な病気のサインではないか」と不安に感じることでしょう。当院でも、しびれの症状で来院される方々から「この症状は何の病気でしょうか」「すぐに検査が必要でしょうか」といったご相談をお受けする場合があります。
手足のしびれの原因は多岐にわたり、一時的な血行不良から重篤な神経疾患まで様々です。症状の現れ方や部位によって、考えられる病気も大きく異なるため、適切な判断と対応が重要になります。
この記事では、手足のしびれを引き起こす主な病気とその原因、治療法について詳しく解説いたします。また、当院での実例も交えながら、いつ医療機関を受診すべきかの判断基準もお伝えしていきます。
手足のしびれの主な原因
手足のしびれとは、正常な感覚が失われたり、ピリピリ・ジンジンといった異常な感覚を自覚する症状のことです。医学的には感覚異常や知覚異常と呼ばれ、神経系の何らかの異常によって引き起こされます。
当院では、しびれの症状で来院される方々に対して、まず症状の詳細な聞き取りを行います。しびれがいつから始まったか、どの部位に現れているか、症状の程度や変化について詳しくお聞きすることで、原因の特定につなげています。
しびれのメカニズム
しびれは大きく分けて、中枢神経(脳や脊髄)の障害によるものと、末梢神経(手足の神経)の障害によるものに分類されることが多いです。中枢神経性は脳や脊髄の病気によるもので、末梢神経性は手足の神経そのものや血管の問題によるものです。
また、症状の現れ方によって急性と慢性に分けることもできます。急性のしびれは数時間から数日で現れ、脳卒中などの緊急性の高い病気の可能性があります。慢性のしびれは数週間から数ヶ月かけて徐々に進行し、糖尿病神経障害や椎間板ヘルニアなどが原因となることが多いです。
手足のしびれを引き起こす主な原因
手足のしびれの原因は非常に多岐にわたりますが、以下のような分類で整理することができます。
| 原因の分類 | 代表的な疾患 | 特徴 |
|---|---|---|
| 神経圧迫 | 椎間板ヘルニア、手根管症候群、胸郭出口症候群 | 特定の姿勢や動作で症状が悪化 |
| 内科的疾患 | 糖尿病神経障害、ビタミンB12欠乏症、甲状腺機能異常 | 両手足に対称性に現れることが多い |
| 血管性疾患 | 脳卒中、動脈硬化、閉塞性動脈硬化症 | 脳卒中では急激な発症・片側性の症状、閉塞性動脈硬化症では歩行時の足の痛みや冷感など |
| その他 | ストレス、自律神経失調症、一時的な圧迫 | 環境要因や生活習慣と関連 |
診察を行う際には、これらの分類を参考にしながら、症状の詳細な評価と適切な検査を組み合わせて診断を進めています。
しびれの部位別の原因
しびれの現れる部位によっても、原因となる病気を推測することができます。手のしびれでは手根管症候群や頸椎症が多く、足のしびれでは坐骨神経痛や足根管症候群が代表的です。
- 手指のしびれ:手根管症候群、頸椎症、胸郭出口症候群
- 足先のしびれ:糖尿病神経障害、足根管症候群、腰椎疾患
- 片側の手足:脳卒中、脊髄損傷、脳腫瘍
- 両側対称性:糖尿病神経障害、ビタミン欠乏症、薬剤性
当院では、こうした部位による特徴を踏まえながら、適切な診断と治療方針の決定を行っています。
手足のしびれを引き起こす代表的な病気
手足のしびれの原因となる病気は数多くありますが、日常の診療でよく遭遇する代表的な疾患について詳しく解説いたします。これらの病気を理解することで、ご自身の症状がどのような状態にあるかを把握する手がかりになります。
末梢神経障害
手根管症候群は手のしびれの原因として非常に頻度の高い代表的な疾患です。手首の手根管という狭いトンネル内で正中神経が圧迫されることで、親指から薬指にかけてのしびれや痛みが生じます。
以前に、長時間のパソコン作業を続けている40代の会社員の方が来院されました。朝起きた時の手のこわばりと、夜間のしびれで睡眠が妨げられるという症状でした。手根管症候群の疑いとして整形外科の受診を推奨し、その後は生活習慣の改善と装具療法で症状が大幅に改善されたそうです。
足根管症候群も同様のメカニズムで、足首の内側にある足根管で神経が圧迫されることにより、足底のしびれや痛みが生じます。胸郭出口症候群では、首と胸部の境界部分で神経が圧迫され、腕から手指にかけてのしびれが現れます。
脊椎疾患
椎間板ヘルニアや頸椎症、腰部脊柱管狭窄症などの脊椎疾患も、手足のしびれの重要な原因となります。これらの疾患では、神経根の圧迫により、特定の神経支配領域にしびれが生じます。
| 疾患名 | 好発部位 | 典型的症状 |
|---|---|---|
| 頸椎椎間板ヘルニア | 首、肩、腕、手 | 首を後ろに反らすと症状悪化 |
| 腰椎椎間板ヘルニア | 腰、臀部、大腿、下腿 | 前かがみで症状軽減 |
| 脊柱管狭窄症 | 両下肢 | 歩行時に症状出現、休憩で改善 |
坐骨神経痛は腰椎疾患の代表的な症状で、腰から臀部、太ももの後面からふくらはぎにかけてのしびれや痛みが特徴的です。
内科的疾患
糖尿病神経障害は、糖尿病の三大合併症の一つで、糖尿病の方の20〜50%程度に発症すると報告されています。典型的には両足の先端から始まり、手袋・靴下様の分布でしびれが現れます。
60代の女性で、両足先のしびれとヒリヒリした痛みを訴えて来院された方がいらっしゃいました。血液検査で糖尿病が判明し、血糖コントロールを開始したところ、数ヶ月後にはしびれの症状が軽減されました。このように、基礎疾患の治療により症状の改善が期待できる場合もあります。
ビタミンB12欠乏症も重要な原因の一つで、高齢者では10〜20%程度にみられると報告されています。悪性貧血や胃切除後、極端な菜食主義などが原因となることがあります。
甲状腺機能異常でも、甲状腺機能低下症で手足のしびれが生じることがあります。
症状の現れ方による病気を見分けるポイント
手足のしびれの症状は、その現れ方によって原因となる病気をある程度推測することができます。急激に発症したのか徐々に進行したのか、片側だけなのか両側なのか、といった特徴を詳しく観察することが重要です。
私たちが診察を行う際には、症状の時間的経過と空間的な分布を詳しく聞き取ることで、適切な診断に結びつけています。ここでは、症状の現れ方による病気の見分け方について解説いたします。
急性発症か慢性発症か
急性発症のしびれは、数時間から数日以内に現れる症状で、緊急性の高い疾患の可能性があります。特に脳卒中では、突然の片側の手足のしびれや麻痺が現れ、言語障害や意識障害を伴うことがあります。
以前に70代の男性が「朝起きたら左手が動かしにくく、しびれている」と家族に付き添われて緊急受診されました。症状の急激な発症と神経学的所見から脳梗塞を疑い、速やかに専門病院へ紹介いたしました。幸い早期治療により、大きな後遺症なく回復されています。
一方、慢性発症のしびれは数週間から数ヶ月かけて徐々に進行します。糖尿病神経障害や椎間板ヘルニアなどが代表的で、症状の進行は緩やかですが、放置すると悪化する可能性があります。
片側性か両側性か
しびれが体の片側だけに現れるか、両側に現れるかも重要な診断の手がかりとなります。
| 分類 | 代表的疾患 | 診断のポイント |
|---|---|---|
| 片側性しびれ | 脳卒中、脊髄損傷、神経根圧迫 | 左右差のある神経学的所見 |
| 両側性しびれ | 糖尿病神経障害、薬剤性神経障害 | 対称性の症状分布 |
| 局所性しびれ | 手根管症候群、足根管症候群 | 特定神経支配領域の症状 |
片側性のしびれでは、脳や脊髄の病気、特定の神経根の圧迫などが考えられます。両側性のしびれでは、全身性の疾患や代謝異常、薬剤の副作用などが原因となることが多いです。
しびれの分布パターン
しびれの分布パターンも診断の重要な手がかりとなります。手袋・靴下様分布では末梢神経障害、皮膚分節様分布では神経根障害が疑われます。
- 手袋・靴下様分布:糖尿病神経障害、薬剤性神経障害
- 皮膚分節様分布:椎間板ヘルニア、帯状疱疹
- 単一神経支配領域:手根管症候群、尺骨神経麻痺
- 片側の顔面・四肢:脳卒中、脳腫瘍
手足のしびれの緊急性の判断ポイント
手足のしびれを自覚した時、多くの方が「すぐに病院に行くべきなのか」「しばらく様子を見ても大丈夫なのか」と迷われることでしょう。適切な判断をするためには、緊急性の高い症状と、経過観察が可能な症状を見分けることが重要です。
当院でも、しびれの症状で来院される方々から「いつから病院に行こうか迷っていました」というお話をよくお聞きします。ここでは、受診の適切なタイミングと緊急性の判断について詳しく解説いたします。
すぐに受診が必要な緊急症状
以下のような症状が現れた場合は、緊急に医療機関を受診する必要があります。これらは脳卒中や脊髄損傷などの重篤な疾患のサインである可能性があります。
- 突然発症した片側の手足のしびれ
- しびれと同時に麻痺や脱力が現れる
- 言語障害や意識障害を伴う
- 激しい頭痛と共に現れるしびれ
- 歩行困難や立位保持困難
- 排尿・排便障害を伴うしびれ
数日以内の受診が望ましい症状
緊急性は高くないものの、早めの受診が推奨される症状もあります。これらの症状は進行性の疾患や、適切な治療により改善が期待できる病気のサインかもしれません。
| 症状の特徴 | 考えられる疾患 | 受診の目安 |
|---|---|---|
| 数日間続く片側の手足のしびれ | 椎間板ヘルニア、神経根障害 | 1週間以内 |
| 徐々に悪化するしびれ | 糖尿病神経障害、ビタミン欠乏 | 2週間以内 |
| 日常生活に支障をきたすしびれ | 手根管症候群、脊柱管狭窄症 | 1週間以内 |
経過観察が可能な症状
一時的で軽度のしびれの場合は、数日間の経過観察が可能な場合もあります。ただし、症状が悪化したり、他の症状が現れた場合は速やかに受診することが大切です。
長時間の同一姿勢による一時的なしびれや、ストレス・疲労による軽度のしびれなどは、生活習慣の改善により改善することがあります。しかし、症状が1週間以上続く場合や、程度が強くなる場合は医療機関での評価が必要です。
実際の診察時には、症状の詳細な経過や日常生活への影響について詳しくお聞きし、個々の状況に応じた適切なアドバイスを提供するよう心がけています。
手足のしびれの治療法
手足のしびれの治療は、原因となる病気によって大きく異なります。適切な診断に基づいた治療を行うことで、多くの場合症状の改善が期待できます。当院では、個々の方の症状や生活スタイルに合わせた治療方針を立て、継続的なサポートを行っています。
治療には薬物療法、物理療法、生活指導、手術療法などがあり、病気の種類や重症度に応じて組み合わせて行います。ここでは、代表的な治療法について詳しく解説いたします。
薬物療法
薬物療法は手足のしびれの治療において重要な役割を果たします。原因疾患に応じて、様々な種類の薬剤が使用されます。
神経障害性疼痛に対してはプレガバリンやガバペンチンなどの神経障害性疼痛治療薬が代表的な薬剤としてよく使用されます。これらの薬剤は神経の過敏性を抑制し、しびれや痛みを軽減する効果があります。また、三環系抗うつ薬やSNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)も神経障害性疼痛に有効です。
糖尿病神経障害では血糖コントロールが基本となり、インスリンや経口血糖降下薬による治療が行われます。ビタミンB12欠乏症ではビタミンB12の補充療法が効果的で、多くの場合症状の改善が期待できます。
物理療法
物理療法は薬物療法と並んで重要な治療手段です。理学療法、作業療法、温熱療法、電気刺激療法などが含まれます。
| 治療法 | 適応疾患 | 期待される効果 |
|---|---|---|
| 理学療法 | 椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症 | 筋力増強、可動域改善 |
| 作業療法 | 手根管症候群、末梢神経障害 | 日常生活動作の改善 |
| 温熱療法 | 血行不良によるしびれ | 血流改善、筋緊張緩和 |
※当院では実施しておりません
生活習慣の改善
日常生活の見直しは、しびれの改善と予防において非常に重要です。特に生活習慣病が原因となっている場合は、生活習慣の改善が症状改善の鍵となります。
- 規則正しい生活リズムの確立
- 適度な運動習慣の維持
- バランスの取れた食事
- 禁煙・節酒
- ストレス管理
- 適切な姿勢の維持
デスクワークが多い方には、1時間に1回は立ち上がって軽くストレッチを行うこと、パソコン作業時の手首の位置を調整することなどをアドバイスしています。また、糖尿病の方には血糖値の自己測定と記録をお勧めし、食事療法の継続をサポートしています。
治療だけでなく予防の観点からも、個々の方のライフスタイルに応じた具体的な改善提案を行うよう心がけています。
よくある質問と回答
Q: しびれが軽度でも受診した方がよいでしょうか?
A: 軽度であっても、しびれが1週間以上続く場合や徐々に悪化している場合は受診をお勧めします。初期段階での適切な治療により、症状の進行を防げる場合があります。当院でも「もっと早く来れば良かった」とおっしゃる方を多く見てきました。早期の相談により、重篤な病気の早期発見につながることもあります。
Q: しびれの原因を調べるためにはどのような検査が必要ですか?
A: 症状や診察所見に応じて、血液検査、神経伝導検査、画像検査(MRI、CT)などが行われます。血液検査では糖尿病やビタミン欠乏症などの内科的疾患を評価します。神経伝導検査では末梢神経の機能、画像検査では脊椎疾患や脳血管障害の有無を確認することができます。
Q: 手足のしびれは完全に治ることがありますか?
A: 原因によって異なります。一時的な神経圧迫や薬剤性のしびれは、原因を取り除くことで完全に改善することが多いです。一方、糖尿病神経障害や変形性脊椎症などでは、進行を抑制し症状を軽減することが主な治療目標となります。早期診断・早期治療により、より良い結果が期待できます。
Q: しびれに効果的なストレッチや運動はありますか?
A: 原因によって適切なストレッチは異なりますが、手根管症候群には手首のストレッチ、頸椎症には首のストレッチが効果的です。ただし、症状によっては運動が症状を悪化させる場合もあるため、医師の指導のもとで行うことが大切です。
Q: 日常生活で気をつけるべきことはありますか?
A: 長時間の同一姿勢を避け、定期的に体勢を変えることが重要です。デスクワークの方は、エルゴノミクス(人間工学)に基づいた作業環境の整備をお勧めします。また、適度な運動、バランスの良い食事、十分な睡眠、ストレス管理も症状の改善に役立ちます。喫煙は血流を悪化させるため、禁煙も重要な要素です。
まとめ
手足のしびれは、一時的な血行不良から重篤な神経疾患まで、様々な原因によって引き起こされる症状です。症状の現れ方や部位、経過によって原因となる病気を推測することができ、適切な診断と治療により多くの場合改善が期待できます。
特に重要なのは、緊急性の高い症状を見分けることです。突然の片側性しびれや麻痺、言語障害を伴う場合は、脳卒中などの可能性があるため速やかな受診が必要です。一方、慢性的な両側性のしびれでは、糖尿病神経障害やビタミン欠乏症などが考えられ、基礎疾患の治療により症状の改善が期待できます。
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