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尿路感染症は人にうつる?感染のリスクと予防法を徹底解説!

尿路感染症と診断された際、多くの方が「家族や周囲の人にうつるのではないか」と心配されます。特に介護をされている方や、パートナーとの日常生活において、感染のリスクについて不安を抱えるのは自然なことです。

結論から申し上げますと、尿路感染症は基本的には人から人へ直接うつる病気ではありません。しかし、なぜ感染しないのか、どのような仕組みで発症するのかを正しく理解することで、適切な予防と対処ができるようになります。

当院では、膀胱炎や腎盂腎炎などの尿路感染症でお悩みの方々から、日常的にこのようなご相談をいただいております。今回は、感染のメカニズムから具体的な予防方法まで、実例を交えながら詳しく解説いたします。

尿路感染症がうつらない理由

まずは、尿路感染症がどのような疾患なのか、そしてなぜ人から人へうつらないのかについて詳しく説明いたします。

多くの方が誤解されているのは、尿路感染症を「感染症」という名前から、インフルエンザや風邪のような伝染性の病気だと思われることです。しかし実際は、そのメカニズムは大きく異なります。

そもそも尿路感染症とは何か

尿路感染症は、尿の通り道である尿路(腎臓、尿管、膀胱、尿道)に細菌が感染して炎症を起こす疾患です。主な種類として以下のようなものがあります。

  • 膀胱炎:膀胱に細菌が感染して起こる最も一般的な尿路感染症
  • 腎盂腎炎:腎臓の腎盂という部分に感染が及ぶより重篤な状態
  • 尿道炎:尿道に限局した感染症

当院で診察する尿路感染症の約8割は膀胱炎で、特に女性の方に多く見られます。症状としては、頻尿、排尿時の痛み、残尿感、尿の濁りなどが典型的です。

感染のメカニズム

尿路感染症の原因となる細菌の約80%は大腸菌です。ここが重要なポイントで、この大腸菌は外部から侵入してくる病原菌ではなく、私たち自身の腸内に常在している細菌なのです。

原因菌割合特徴
大腸菌約80%腸内常在菌。肛門周囲から尿道へ侵入
腸球菌約10%同じく腸内常在菌。高齢者に多い
その他の細菌約10%ブドウ球菌、クレブシエラなど

感染の流れとしては、腸内の大腸菌が肛門周囲に移動し、そこから尿道口へと移行します。特に女性は尿道が短く(約4cm)、肛門と尿道口が近いため、男性よりも尿路感染症になりやすいとされています。

なぜ人から人へうつらないのか

尿路感染症が人にうつらない最大の理由は、感染源が外部の病原体ではなく、自分自身の常在菌だからです。ここで説明しているのは、いわゆる細菌性膀胱炎などの一般的な尿路感染症であり、クラミジアや淋菌など性行為でうつる性感染症とは異なります。つまり、他人から病原菌をもらって発症するのではなく、自分の体内にもともと存在する細菌が、何らかの原因で本来いるべきでない場所(尿路)に移動することで起こります。

私がよく使う例えですが、庭の土は庭にある限り問題ありませんが、それが家の中に入ってくると「汚れ」になります。同様に、大腸菌も腸内にいる限りは有益な働きをしますが、尿路に入ると感染症を引き起こすのです。

感染リスクが高まる特殊なケース

基本的に人から人へうつらない尿路感染症ですが、特定の状況下では注意が必要なケースがあります。これらの状況を正しく理解することで、より効果的な予防策を取ることができます。

性行為に関連したケース

性行為後に尿路感染症を発症するケースは珍しくありませんが、これは性感染症とは異なります。メカニズムとしては、性行為によって肛門周囲の細菌が尿道口に押し上げられることが原因です。

実際の事例では、20代女性の方が性交渉後に排尿せずに就寝し、翌朝から排尿痛と頻尿を訴えて受診されたケースがありました。検査の結果、典型的な膀胱炎と診断され、適切な治療で改善されました。

医療器具使用時

カテーテルを使用している方や、医療処置を受けている方では、通常とは異なるリスクが存在します。これは器具を介した細菌の侵入や、正常な排尿機能の阻害によるものです。

高齢者施設や在宅医療の現場では、このようなケースに特別な注意が必要です。適切な器具管理と衛生的な処置が感染予防の鍵となります

免疫力低下時

糖尿病、妊娠中、高齢、ステロイド使用中など、免疫力が低下している状態では、通常では感染を起こさない程度の細菌でも尿路感染症を発症しやすくなります。

糖尿病をお持ちの70代男性の方が、血糖コントロール不良の時期に繰り返し尿路感染症を起こされたケースが過去に当院でありました。血糖値の改善とともに感染頻度も減少し、基礎疾患管理の重要性を改めて実感した症例でした。

日常生活でできる尿路感染症の予防法

尿路感染症の予防は、日常生活の中で実践できる簡単な習慣の積み重ねです。ここでは、科学的根拠に基づいた効果的な予防方法をご紹介します。

当院では、これらの予防方法を実践された方の再発率が大幅に減少することを実際に確認しており、継続的な生活習慣の改善をお勧めしています。

適切な水分摂取と排尿習慣

十分な水分摂取は尿路感染症予防の基本的で効果が期待できる方法の一つです。水分を十分に摂取することで尿量が増加し、細菌を物理的に洗い流す効果が期待できます。

また、排尿を我慢することは細菌の増殖を促進するため、尿意を感じたら速やかにトイレに行く習慣を心がけましょう。

ただし、心臓病や腎臓病などで水分制限が必要な方は、必ず主治医の指示に従ってください。

時間帯推奨摂取量注意点
起床時コップ1杯(200mL)就寝中の脱水を補正
日中1時間ごとに100-150mLこまめな摂取が重要
就寝前コップ半分(100mL)夜間頻尿に注意しながら調整

正しい清拭方法と衛生管理

排便・排尿後の清拭は、必ず前から後ろへ行うことが基本です。これは肛門周囲の大腸菌を尿道口に運ばないための重要な習慣です。

介護現場でも同様で、おむつ交換時にも前から後ろへの清拭を徹底することで感染リスクを大幅に減らすことができます

当院でアドバイスしている具体的な手順は以下の通りです。

  1. 排尿・排便後は、清潔なトイレットペーパーを使用
  2. 尿道口から肛門に向かって一方向に清拭
  3. 使用したペーパーは折り返さず、新しいペーパーを使用
  4. 清拭後は手洗いを徹底

生活環境と習慣の改善

下着や衣類の選択も予防に重要な役割を果たします。通気性の良い綿製品を選び、きつすぎる衣類は避けることで、陰部の蒸れを防ぎ、細菌の繁殖を抑制できます。

温泉やサウナなどの公共浴場では、タオルの共用を避け、入浴前後のシャワーを心がけることで、感染リスクをさらに下げることができます。

特別な配慮が必要な方々への対応

妊娠中の女性、高齢者、免疫力が低下している方々など、特別な配慮が必要な方々に対する予防と対応について詳しく解説いたします。それぞれの状況に応じた最適な予防策をとることが大切です。

妊娠中の尿路感染症予防

妊娠中は子宮の拡大により尿路が圧迫され、尿路感染症のリスクが高まります。また、妊娠による免疫機能の変化も関係しています。

妊娠中の予防で特に重要なのは、無症状でも定期的な尿検査を受けることです。妊婦健診では通常、毎回尿検査が行われますので、指示された検査を欠かさず受けることが大切です。症状が出る前に細菌尿を発見し、適切に治療することで、母体と胎児への影響を最小限に抑えることができます。

妊娠時期リスク要因対策
妊娠初期つわりによる水分摂取不足少量ずつこまめな水分補給
妊娠中期子宮拡大による尿路圧迫定期的な排尿、尿検査
妊娠後期膀胱容量減少、残尿感頻回排尿、前傾姿勢での排尿

高齢者の尿路感染症予防

高齢者では、認知機能の低下や身体機能の変化により、尿路感染症の症状が典型的でない場合があります。発熱や意識状態の変化が初期症状として現れることもあります。

80代の女性の方が「なんとなく元気がない」という家族の訴えで受診され、検査の結果、無症状の尿路感染症が発見されたケースが過去にありました。

子どもの尿路感染症予防

子どもの場合、基礎疾患として膀胱尿管逆流症などが隠れている可能性があり、繰り返す尿路感染症では精密検査が必要になることもあります。

子どもの予防で最も重要なのは、正しい排尿・排便習慣の確立と、適切な陰部衛生の指導です。親御さんと一緒に、楽しみながら習慣を身につけることが大切です。

尿路感染症の治療

尿路感染症の治療は抗菌薬が基本となりますが、適切な使用法と再発予防策の理解が重要です。実際の治療プロセスと再発予防について詳しく説明いたします。

治療において最も大切なのは、症状が改善したからといって薬を中断せず、処方された期間を完了することです。

適切な抗菌薬治療法

抗菌薬治療は原因菌を想定した上で、最適な薬剤を選択することが重要です。

一般的な単純性膀胱炎では3〜7日間、腎盂腎炎ではおおよそ7〜14日間の抗菌薬治療が必要です(重症度や基礎疾患により前後します)。症状が改善しても、細菌が完全に除去されるまで治療を継続することが再発防止につながります。

感染部位一般的な治療期間注意点
単純性膀胱炎3-7日間水分摂取を併用
複雑性膀胱炎7-10日間基礎疾患の管理も重要
腎盂腎炎10-14日間重症化防止のため確実な治療

再発予防のポイント

再発を繰り返す方に重要なのは、根本的な生活習慣の改善です。

これまで再発を繰り返していた50代女性の方に対して、詳細な生活指導を行い水分摂取量の増加と排尿習慣の改善を図った結果、その後は現在まで再発を認めておりません。生活習慣の見直しが大きく寄与したと考えられます。

受診のタイミング

以下のような症状がある場合は、速やかに医療機関を受診することをお勧めします。

  • 排尿時の強い痛みや灼熱感
  • 頻尿(1日8回以上)や残尿感
  • 尿の濁りや血尿
  • 発熱(特に38℃以上)
  • 腰痛や背部痛

市販薬による自己判断は症状を悪化させる可能性があるため、専門医による適切な診断と治療を受けることが重要です。

よくある質問と回答

Q: 家族が膀胱炎になったとき、タオルや食器を分ける必要がありますか?

A: 必要ありません。膀胱炎は人から人へうつる病気ではないため、通常の生活用品を共有しても感染リスクはありません。ただし、一般的な衛生管理として、手洗いの励行は大切です。

Q: 妊娠中に膀胱炎になった場合、赤ちゃんに影響はありますか?

A: 適切に治療すれば、胎児への影響はほとんどありません。治療せずに放置すると、早産や低出生体重児のリスクを高める可能性があります。妊娠中でも安全な抗菌薬がありますので、症状があれば早めに受診してください。

Q: 子どもが尿路感染症を繰り返す場合、何か原因があるのでしょうか?

A: 繰り返す場合は、膀胱尿管逆流症など基礎疾患の可能性があります。また、排尿習慣や衛生管理に問題がある場合もあります。小児科や泌尿器科で相談されることをお勧めします。

Q: 温泉や銭湯で尿路感染症がうつることはありますか?

A: 温泉や銭湯の湯船から直接尿路感染症がうつることは基本的にありません。ただし、タオルの共用は避け、入浴前後のシャワーで陰部を清潔に保つことは大切です。また、免疫力が低下しているときは、より注意深い衛生管理を心がけましょう。

Q: 高齢の親の介護をしていますが、感染対策で特に注意すべきことはありますか?

A: おむつ交換時の前から後ろへの清拭徹底、こまめな交換、十分な水分摂取の促進が重要です。また、高齢者は症状が分かりにくいことがあるため、普段と違う様子があれば早めに医療機関に相談することをお勧めします。

まとめ

尿路感染症は基本的に人から人へうつる病気ではなく、自身の常在菌が原因で発症する疾患です。適切な水分摂取、正しい清拭方法、排尿習慣の改善により、多くの場合予防することができます。

特に女性や高齢者、妊娠中の方は感染リスクが高いため、日常的な予防習慣を身につけることが重要です。症状が現れた場合は、市販薬による自己治療ではなく、適切な医療機関での診断と治療を受けることをお勧めします。

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監修医師:峰岸 真史
医師/医療法人社団峰真会 理事長。内科・皮膚科・アレルギー科を専門とするステーションクリニック東大宮(さいたま市見沼区)の創業者であり、開院後4年間で来院者数は35,000人超。国内外の診療ガイドラインや学術論文を根拠にしつつ、日々の診療で得た知見を分かりやすくまとめ、皆様に医療をもっと身近に感じていただけるような記事作成を心がけています。
[所属学会]日本内科学会、日本アレルギー学会、日本循環器学会、日本呼吸器学会、日本消化器病学会、日本消化管学会、日本外科学会、日本臨床外科学会、日本美容皮膚科学会

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