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不安症の兆候をチェック!見逃しがちな症状とその対策法

「最近、何となく心配事が頭から離れない」「動悸がして息苦しく感じることがある」このような症状に心当たりがある方も多いのではないでしょうか。実は、こうした症状は不安症(不安障害)の初期サインかもしれません。

本記事では、不安症の具体的な症状チェック方法や見逃しやすいサイン、そして適切な対策法について詳しくご紹介します。セルフチェックリストを使って現在のご自身の状態を確認し、必要に応じて医療期間への相談を検討する参考にしていただければと思います。

不安症(不安障害)の基本的な特徴

不安症は、日常生活に支障をきたすほどの強い不安や心配が継続する疾患の総称です。私たちが普段感じる「緊張」や「心配」とは明確に異なり、その強度や持続期間が問題となります。

「体の調子が悪いのに検査では異常なし」という方は実際に数多く来院されますが、詳しくお話を伺うと不安症の症状に合致するケースが少なくありません。

不安症の代表的な種類

不安や強迫が関係する主な疾患にはいくつかの種類があり、それぞれ症状の現れ方が異なります。以下の表で代表的な疾患の特徴をまとめました(強迫性障害は現在は「強迫症および関連症群」に分類されますが、不安との関連が強いためここで併せてご紹介します)。

不安や強迫が関係する主な疾患主な症状特徴的な場面
全般性不安障害漠然とした心配が6か月以上継続日常のあらゆる場面
パニック障害突然の強い不安発作電車内、人混みなど
社会不安障害人前での緊張や恐怖プレゼンテーション、会食など
強迫性障害繰り返し行為、侵入思考手洗い、確認行為など

見逃しやすい身体症状

不安症の症状は心理的なものだけではありません。実際に、当院を受診される方の多くが「体の症状」を主訴として来院されます。

特に見逃しやすい身体症状として、以下のようなものがあります。

  • 原因不明の動悸や胸の締め付け感
  • 息苦しさや過呼吸の症状
  • めまいやふらつき
  • 消化器症状(吐き気、下痢、腹痛)
  • 頭痛や首肩の緊張
  • 異常な発汗や震え

正常な不安と病的な不安の違い

「不安を感じること自体は誰にでもある正常な反応です」と私たちは皆様にお伝えしています。重要なのは、その不安が生活にどの程度影響を与えているかという点です。

病的な不安の特徴として、以下の3つのポイントがあります。

  • 持続期間:数週間から数か月以上続く
  • 強度:日常生活や仕事に支障をきたすレベル
  • 頻度:ほぼ毎日のように症状が現れる

不安症の症状のセルフチェックリスト

ここでは、ご自身の状態を客観的に評価する方法をご紹介します。このチェックリストは医学的診断を代替するものではありませんが、医療機関への相談を検討する目安として活用できます。

不安症状のチェック項目

以下の各項目について、当てはまるものを確認してみましょう。多くの項目が当てはまるほど、医療機関への相談の必要が高まります。

症状内容
神経質・不安感神経質になる、不安になる、ピリピリする
心配のコントロール困難心配を止めることができない
過度な心配いろいろなことを心配しすぎる
リラックス困難くつろぐことが難しい
落ち着きのなさじっと座っていられないほど落ち着かない
イライラいらいらしやすい、怒りっぽい
恐怖感何か恐ろしいことが起こりそうで怖い
疲労感疲れやすい、エネルギーがない
集中困難集中できない、頭が真っ白になる
筋肉の緊張体がこわばる、肩や首が凝る
睡眠の問題寝つきが悪い、眠りが浅い、途中で目が覚める
身体症状動悸、発汗、震え、めまいなど

身体症状の詳細チェック

不安症では、心理的症状と同時に様々な身体症状が現れることが特徴です。以下の身体症状についても確認してみましょう。

  • 動悸や心拍数の増加を感じる
  • 息切れや呼吸困難感がある
  • 胸の圧迫感や痛みを感じる
  • 手足の震えやしびれがある
  • 異常な発汗(特に手のひら)
  • 吐き気や腹部の不快感
  • めまいやふらつき
  • 筋肉の緊張や痛み

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不安症の見逃されやすいパターン

実際の診療現場では、不安症の症状が他の疾患と間違われやすく、適切な診断に至るまでに時間がかかることが少なくありません。ここでは、実例を通して不安症の多様な現れ方をご紹介します。

これらの事例を知ることで、ご自身や周囲の方の症状をより正確に理解し、早期発見・早期治療につなげていただければと考えています。

身体症状が前面に出るケース

40代女性のAさんのケースでは、数か月間にわたって動悸と息苦しさに悩まされていました。血液検査・心電図検査・レントゲン検査などを実施しましたがいずれも異常なしでした。

詳しくお話を伺うと、症状が現れるのは主に「仕事の締切前」や「人前で話す前」であることが判明しました。さらに、漠然とした将来への不安が常にあり、夜中に目が覚めてしまうことも頻繁にありました。

この方の場合、全般性不安障害による身体症状が主体であり、適切な治療により症状は大幅に改善しました。

睡眠障害として見逃されるケース

診療で注意が必要な点として、睡眠障害の背景に不安症が隠れているパターンがあります。単なる「不眠症」として治療されていても、根本原因が不安にある場合は異なるアプローチが必要です。

50代女性のBさんは、1年以上「眠れない」ことを主訴として睡眠薬を処方されていました。しかし、詳しくお話を伺うと、寝床に入ると「明日のこと」「家族のこと」「老後のこと」など様々な心配事が頭をよぎり、それが原因で眠れないことが分かりました。

  • 入眠時に心配事が次々と浮かぶ
  • 夜中に目覚めると再び心配になる
  • 朝起きても疲労感が残る
  • 日中も漠然とした不安感がある

職場や学校での対人関係の問題

社会不安障害の症状は、しばしば「性格の問題」「やる気の問題」として片付けられがちです。

20代男性のCさんは、会社での会議やプレゼンテーションの際に極度の緊張を感じ、動悸や発汗、震えなどの症状が現れていました。これらの症状により仕事のパフォーマンスが低下し、さらなる不安を生むという悪循環に陥っていました。

不安症の治療選択肢

不安症の治療は、症状の程度や種類に応じて様々な選択肢があります。生活状況や希望に合わせて、最適な治療方針を検討していくことが大切です。

治療の基本的な考え方として、薬物療法と非薬物療法を組み合わせることで、より効果的な症状改善が期待できます。

セルフケアでできる対策法

軽度で一時的な不安症状であれば、セルフケアから始めることも一つの方法です。ただし、症状が数週間以上続く場合や、仕事・家事・学校生活に支障が出ている場合は、早めに医療機関へご相談いただくことをお勧めします。以下の方法は、私が実際に診察時にお伝えしている内容です。

対策法方法効果
呼吸法腹式呼吸を1日10分程度実践自律神経の安定、リラックス効果
運動習慣週3回30分程度の有酸素運動ストレス発散、睡眠の質向上
睡眠衛生規則正しい睡眠時間の確保疲労回復、精神状態の安定
リラクゼーション筋弛緩法やマインドフルネス心身の緊張緩和

専門的な治療法

中等度以上の症状や、セルフケアでは改善が困難な場合は、医学的な治療が必要となります。

特に有名な認知行動療法は、不安症治療の第一選択の一つとされる、エビデンスの高い心理療法です。不安を引き起こす思考パターンを客観的に見直し、より現実的で建設的な考え方を身につけていきます。

  • 思考記録を用いた認知の修正
  • 段階的な行動変容プログラム
  • リラクゼーション技法の習得
  • 問題解決スキルの向上

薬物療法

症状の程度によっては、薬物療法も重要な選択肢となります。症状や生活状況を総合的に考慮して、最適な薬剤を選択していくことが重要です。ただし、副作用の可能性もあるため、必ず医師と相談しながら適切に使用することが大切です。

主な薬物療法として、以下のような選択肢があります。

  • SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬):第一選択薬として使用
  • SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬):不安と抑うつ症状の両方に効果
  • ベンゾジアゼピン系薬剤:短期間の症状緩和に使用
  • βブロッカー:身体症状(動悸など)の軽減に使用

生活習慣の改善

治療効果を高めるためには、日常生活の改善も欠かせません。当院では、以下のポイントを特に重視してアドバイスしています。

生活要素改善ポイント注意事項
食生活カフェイン・アルコールの制限症状を悪化させる可能性
ストレス管理適切な休息とリフレッシュ完璧主義的思考の見直し
社会的支援家族や友人との良好な関係維持孤立しないことが重要

よくある質問と回答

不安症について、皆様からよく寄せられるご質問にお答えします。これらの疑問は、診療現場で実際に多くの方からお伺いする内容です。

不安症は完治しますか?

多くの方が心配されるのが「一生付き合っていかなければならないのか」という点です。適切な治療により、症状の大幅な改善や寛解は十分に可能です。実際に治療を受けられた方の多くが、日常生活に支障のないレベルまで改善されています。

ただし、完全に症状がなくなることよりも、症状をコントロールして質の高い生活を送ることを目標とすることが重要です。

薬に依存しないか心配です

薬物療法への不安をお持ちの方は少なくありません。一般的な考え方として、必要最小限の薬剤使用を心がけることが重要であり、症状の改善に伴って徐々に減量・中止を目指します。特に抗不安薬については、依存性のリスクを考慮して、必要な期間のみの使用に留めることが望ましいです。

家族はどのようにサポートすればよいですか?

ご家族のサポートは治療において非常に重要です。以下のポイントを心がけていただくことをお勧めします。

  • 症状を軽視せず、本人の辛さを理解する
  • 「気持ちの問題」として片付けない
  • 治療への積極的な参加を促す
  • 過度な心配や干渉は避ける

仕事や学校への影響が心配です

不安症の症状により、職場や学校でのパフォーマンスに影響が出ることは確かにあります。しかし、適切な治療により、これらの問題も改善することが多いのが実情です。必要に応じて、職場や学校との調整についても医師からアドバイスを受けましょう。

子どもでも不安症になりますか?

不安症は大人だけの病気ではありません。子どもや思春期の方にも発症することがあります。学校への行きしぶり、分離不安、社交不安などの形で現れることが多いです。

早期発見・早期治療により、より良い予後が期待できるため、気になる症状があれば医療機関にご相談ください。

まとめ

不安症は決して特別な病気ではなく、適切な理解と治療により改善が期待できる疾患です。本記事でご紹介したセルフチェックリストを活用して、まずはご自身の状態を客観的に把握することから始めてみてください。

重要なのは、症状を一人で抱え込まず、必要に応じて医療機関への相談を検討することです。適切な診断と治療により、より良い生活の質を取り戻しましょう。

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監修医師:峰岸 真史
医師/医療法人社団峰真会 理事長。内科・皮膚科・アレルギー科を専門とするステーションクリニック東大宮(さいたま市見沼区)の創業者であり、開院後4年間で来院者数は35,000人超。国内外の診療ガイドラインや学術論文を根拠にしつつ、日々の診療で得た知見を分かりやすくまとめ、皆様に医療をもっと身近に感じていただけるような記事作成を心がけています。
[所属学会]日本内科学会、日本アレルギー学会、日本循環器学会、日本呼吸器学会、日本消化器病学会、日本消化管学会、日本外科学会、日本臨床外科学会、日本美容皮膚科学会

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