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医療・診療

胃腸炎の診断が必要かも。症状、原因、セルフチェックのポイントを解説

「お腹が痛くて下痢が止まらない」「吐き気がひどくて食べられない」このような症状が続くと、胃腸炎かもしれないと心配になりますよね。

胃腸炎は消化器系の感染症で、ウイルスや細菌が原因となって胃や腸に炎症を起こす病気です。多くの場合は軽症で自然治癒しますが、中には重症化したり、他の重大な疾患が隠れていたりすることもあります。

この記事では、胃腸炎の症状や原因、診断のポイントについて詳しく解説し、どのような場合に受診が必要なのか、医師の視点から実例を交えてお伝えします。適切な判断ができるよう、セルフチェックの方法も含めて分かりやすくご説明いたします。

胃腸炎の主な症状と見分け方のポイント

胃腸炎の症状は多岐にわたりますが、特徴的な症状を正しく理解することで、適切な対処につながります。また、似た症状を示す他の疾患との見分け方も重要なポイントです。

まず、胃腸炎でよく見られる典型的な症状について詳しく見ていきましょう。

代表的な胃腸炎の症状

胃腸炎の最も特徴的な症状は、腹痛、下痢、嘔吐の3つです。これらの症状は単独で現れることもあれば、複数が同時に起こることもあります。

腹痛は多くの場合、みぞおち付近や下腹部に現れ、キリキリとした痛みやシクシクとした鈍痛として感じられます。下痢は水様便から軟便まで程度は様々で、1日に3回以上の排便があり、普段よりも便が緩い状態が続きます。

嘔吐は突然起こることが多く、食べ物や胃液を吐き出します。吐き気だけで実際に吐かない場合もありますが、この症状も胃腸炎の重要な指標となります。

症状特徴注意すべきサイン
腹痛みぞおちや下腹部の痛み激しい右下腹部痛(虫垂炎の疑い)
下痢軟便〜水様便、1日3回以上血便、黒色便
嘔吐突発的な吐き気と嘔吐緑色の嘔吐物(腸閉塞の疑い)
発熱37〜39度の発熱40度以上の高熱

他の疾患との見分け方

胃腸炎と似た症状を示す重大な疾患があることを知っておくことが重要です。特に虫垂炎や腸閉塞などは緊急性が高く、適切な診断と治療が必要となります。

実際の診療では、症状の現れ方や経過を詳しく問診することで、これらの疾患を見分けています。例えば、虫垂炎では右下腹部の持続的な痛みが特徴的で、歩行時に痛みが増強することが多く見られます。

一方、胃腸炎の腹痛は断続的で、排便後に軽快することが多いのが特徴です。また、腸閉塞では嘔吐物が緑色になったり、ガスや便が全く出なくなったりするという明確な違いがあります。

症状の経過パターン

胃腸炎の症状には典型的な経過パターンがあります。多くの場合、突然の嘔吐や下痢で始まり、2〜3日をピークとして徐々に改善していきます。

ウイルス性胃腸炎では、潜伏期間は12〜48時間程度で、症状が現れてから1週間以内に回復することがほとんどです。細菌性胃腸炎の場合は、症状がやや長引く傾向があり、発熱した場合には体温も高めになる例が多く見られます。

胃腸炎の原因と感染経路を詳しく解説

胃腸炎の原因を正しく理解することで、予防策を講じることができ、同じ症状を繰り返すリスクを減らすことができます。主な原因と感染経路について詳しく見ていきましょう。

胃腸炎の原因は大きくウイルス性、細菌性、その他に分類されます。それぞれの特徴や感染経路を理解することで、適切な対策が可能になります。

ウイルス性胃腸炎の特徴

ウイルス性胃腸炎は胃腸炎全体の中で最も一般的なタイプです。主な原因となるウイルスには、ノロウイルス、ロタウイルス、アデノウイルスなどがあります。

ノロウイルスは特に冬季(11月〜3月)に流行し、感染力が非常に強いことで知られています。少量のウイルスでも感染が成立するため、家族内や集団での感染拡大が起こりやすい特徴があります。

当院でも、冬場には胃腸炎の方々が増加する印象です。ある年の12月には、同じ家庭の4人家族が次々と同様の症状で受診され、適切な感染対策の重要性を改めて実感したケースがありました。

ウイルス名流行時期主な症状
ノロウイルス11月〜3月激しい嘔吐、下痢、発熱
ロタウイルス2月〜5月白色下痢、嘔吐、発熱
アデノウイルス通年発熱、下痢、腹痛

細菌性胃腸炎の原因菌

細菌性胃腸炎は、カンピロバクター、サルモネラ、腸管出血性大腸菌(O157など)などの細菌感染により起こります。これらの細菌は主に食品を介して感染することが多く、食中毒として扱われることもあります。

細菌性胃腸炎の特徴は、ウイルス性と比較して症状が重く、期間も長引きやすいことです。また、血便を伴うことがあり、抗菌薬による治療が必要になる場合もあります。

夏場には、BBQや生肉料理による細菌性胃腸炎の症例が増加します。焼き肉店で生レバーを食べた複数の方々が、同じ時期に血便を伴う下痢で受診されたケースが当院でも過去にありました。

感染経路と予防のポイント

胃腸炎の感染経路を理解することで、効果的な予防策を講じることができます。主な感染経路には以下のようなものがあります。

  • 経口感染:汚染された食品や水の摂取
  • 接触感染:感染した人の嘔吐物や便からの感染
  • 飛沫感染:咳やくしゃみによる感染
  • エアロゾル感染:乾燥した嘔吐物からのウイルス飛散

特にノロウイルスでは、トイレでの排便後やトイレ掃除後の手洗いが不十分だった場合に感染が拡大することがあります。また、感染した人が調理を行うことで、食品を介した感染も起こり得ます。

胃腸炎の診断方法と医療機関での検査

胃腸炎の診断は、症状の特徴や経過、身体所見などを総合的に判断して行われます。多くの場合は問診と診察で診断可能ですが、重症例や他疾患との鑑別が必要な場合には、各種検査が実施されます。

ここからは、実際の医療現場での診断プロセスについて詳しく解説していきます。

問診で確認される重要なポイント

胃腸炎の診断において、問診は最も重要な情報収集手段です。当院では、症状の詳細だけでなく、発症の経緯や生活状況についても詳しくお聞きしています。

具体的には、症状の開始時期、食事内容、周囲での同様症状の有無、既往歴、内服薬などを確認します。特に発症前48時間以内の食事内容は、食中毒の可能性を判断する上で重要な情報となります。

先日も、家族4人が同時期に胃腸炎症状を発症されたケースがありました。詳しく問診すると、2日前に全員が同じ弁当を食べていたことが判明し、細菌性食中毒として診療を行いました。

問診項目確認内容
発症時期症状開始の日時と経過
食事歴発症前48時間の摂取食品
周囲の状況家族や職場での同様症状
既往歴過去の胃腸疾患や手術歴

身体診察と診断のポイント

問診に続いて行われる身体診察では、腹部の診察が中心となります。必要に応じて、聴診器で腸音を確認したり、触診で圧痛の有無や程度を評価します。

胃腸炎では一般的に腹部全体に軽度の圧痛を認めますが、局所的な強い圧痛がある場合は他疾患を疑います。特に右下腹部の強い圧痛は虫垂炎の可能性があり、緊急性が高い症状として注意深く観察します。

また、脱水症状の評価も重要となる場合があり、皮膚の弾力性や口腔内の乾燥状態、血圧や脈拍数の変化を確認することもあります。これらの所見により、入院治療の必要性や緊急度を判断しています。

必要に応じて実施される検査

症状の程度や他疾患の可能性に応じて、以下のような検査を実施することがあります。

  • 血液検査:白血球数、CRP、電解質バランス
  • 腹部X線検査(レントゲン):腸管の状態や他臓器の評価
  • 腹部超音波検査:腸管の状態や他臓器の評価
  • 腹部CT検査:重症例や他疾患の除外目的

血液検査では炎症反応の程度を数値で確認し、治療方針の決定に役立てています。

当院では、血便がある場合や高熱が続く場合などには、積極的に血液検査を実施して適切な診断を行っています。一方で、症状が軽微で典型的な経過を辿っている場合は検査を行わず、経過観察とすることも多くあります。

※当院では超音波・CTは実施できませんので、それらが必要な病状の場合には近隣の病院などをご紹介させていただきます

セルフチェックと受診判断の具体的ガイド

胃腸炎の症状が現れた時、自宅で様子を見て良いのか、すぐに医療機関を受診すべきなのか判断に迷うことは多いでしょう。ここでは、具体的なセルフチェック方法と受診のタイミングについて詳しく解説します。

適切な判断ができるよう、危険なサインの見分け方や、自宅でできる対処法についてもご紹介していきます。

緊急受診が必要な危険サイン

以下の症状がある場合は、胃腸炎以外の重大な疾患の可能性があるため、直ちに医療機関を受診してください。

  • 激しい腹痛で歩けない、体を動かせない
  • 血便や黒色便(タール便)が出る
  • 緑色の嘔吐物が出る
  • 40度以上の高熱が続く
  • 意識がもうろうとする、ぐったりしている
  • 口の中がカラカラに乾いている
  • 尿が12時間以上出ない

これらの症状は、腸閉塞、虫垂炎、重篤な脱水症状などの可能性を示唆するものです。特に高齢の方々や小さなお子さまでは、症状が急激に悪化することがあるため、より注意深い観察が必要です。

他院で単なる胃腸炎と診断されていたものの、当院で精査したところ実は腸閉塞だった症例も過去にありました。持続する激しい腹痛と緑色の嘔吐物が決め手となったケースでした。

症状レベル具体的な症状対応
緊急激しい腹痛、血便、意識障害直ちに救急受診
早期受診症状3日以上継続、高熱翌日までに受診
経過観察軽い下痢、嘔吐、水分摂取可能自宅で安静

早期受診を検討すべき状況

緊急性は上記ほど高くないものの、症状が数日にわたり続く場合や、水分摂取が困難な場合は医師の診察を受けましょう。

症状が軽微でも、65歳以上の高齢の方々、乳幼児、慢性疾患をお持ちの方々は重症化しやすいため、より慎重な判断が必要です。また、妊娠中の方々も胎児への影響を考慮して早めの相談をお勧めします。

私たちが診療している中でも、「もう少し早く来てもらえればここまで悪化しなかったのに」と感じるケースが多々あります。特に高齢の方々では、軽い症状でも脱水が進行しやすいため要注意です。

自宅でできる対処法とセルフケア

軽症の胃腸炎では、適切な自宅療養により改善が期待できます。最も重要なのは水分補給と安静です。

水分補給では、一度に大量に飲むのではなく、スプーン1杯程度の少量を15〜30分おきに摂取することが効果的です。経口補水液やイオン飲料が理想的ですが、白湯や薄めのお茶でも構いません。

  • 水分補給:少量ずつ頻回に摂取
  • 食事:消化の良いおかゆ、バナナ、りんごなど
  • 安静:十分な睡眠と休息
  • 室温調整:体を冷やさないよう注意
  • 手洗い:家族への感染予防

症状改善の目安は、水分摂取ができる、尿が出る、意識がはっきりしている、の3点です。これらが保たれていれば、基本的には自宅療養で様子を見ることができます。

実例から学ぶ胃腸炎診断のポイント

実際の診療現場で経験した症例を通じて、胃腸炎の診断で重要なポイントや見落としやすい注意点について具体的に解説します。これらの実例は、皆様が自己判断する際の参考になるでしょう。

症例を通じて、典型的な胃腸炎から非典型的なケース、他疾患との鑑別が必要だった症例まで幅広くご紹介していきます。

典型的なウイルス性胃腸炎のケース

30代の女性が、突然の嘔吐と水様下痢で来院されました。症状は前日の夜から始まり、1時間に1回程度の嘔吐と、1日に8回の水様便がありました。発熱は37.5度で、水分摂取は少量ずつなら可能でした。

問診では、お子さまが保育園でノロウイルス胃腸炎に罹患していたことが判明し、家庭内感染が疑われました。身体診察では軽度の脱水症状はあるものの、バイタルサインは安定していました。

このケースでは、典型的なウイルス性胃腸炎と診断し、自宅での安静と水分補給を指導しました。3日後には症状は完全に改善され、経過は良好でした。このように、感染源が明確で症状が典型的な場合は、特別な検査を行わず経過観察とすることが多くあります。

細菌性胃腸炎を疑った症例

50代の男性が、3日前からの下痢と腹痛で受診されました。特徴的だったのは、血液混じりの便と38.5度の発熱が続いていることでした。

詳しい問診により、症状発症の2日前に友人とBBQで生肉を食べていたことが分かりました。身体診察では下腹部に圧痛があり、血液検査で炎症反応の上昇を認めました。

検査項目結果正常値
白血球数12,000/μL4,000-8,000/μL
CRP8.5mg/dL0.3mg/dL以下

検査結果から細菌性胃腸炎と診断し、抗菌薬による治療を開始しました。治療開始から2日後には血便は消失し、1週間で完全に回復されました。

他疾患との鑑別が必要だった症例

40代の男性が、激しい右下腹部痛と嘔吐で夜間に救急外来を受診されました。最初は胃腸炎を疑いましたが、痛みの部位と強さが通常の胃腸炎とは異なっていました。

歩行時に痛みが増強し、右下腹部を押した後に手を離すと痛みが強くなる反跳痛があったため、虫垂炎を疑いました。近隣の病院に紹介し腹部CTを撮影いただいたところ、虫垂の腫脹と周囲の炎症所見を認め、急性虫垂炎と診断されました。

このケースでは、症状の特徴と身体所見から胃腸炎ではない可能性を見抜くことができ、適切な治療につなげることができました。症状の現れ方や痛みの性質を詳しく観察することの重要性を改めて実感した症例でした。

高齢者での注意点

80代の女性が、軽い下痢と食欲不振で家族に付き添われて来院されました。症状自体は軽微でしたが、普段より元気がなく、口の中が乾燥していました。

高齢者では症状が軽くても脱水が進行しやすいため、血液検査を実施しました。その結果、軽度の脱水と電解質異常を認めたため、水分補給を励行しました。その後は徐々に表情も明るくなり、翌日には食事も摂れるようになりました。

このように、高齢の方々では症状が軽微でも重症化しやすいため、より慎重な評価と早期の介入が重要です。

よくある質問と回答

胃腸炎について、外来でよくお聞きする質問とその回答をまとめました。皆様の疑問や不安の解消に役立てていただければと思います。

胃腸炎はどのくらいで治りますか?

ウイルス性胃腸炎の場合、通常2〜3日がピークで、1週間以内には症状が改善することがほとんどです。ただし、完全に元の状態に戻るまでには2週間程度かかることもあります。細菌性胃腸炎では、適切な抗菌薬治療により1週間程度で改善します。症状が1週間以上続く場合は、他の疾患の可能性もあるため再受診をお勧めします。

家族にうつさないためにはどうすればよいですか?

胃腸炎の感染予防で最も重要なのは手洗いです。トイレの後、食事の前、調理前には必ず石鹸でしっかり手洗いしてください。また、タオルの共用は避け、感染した方の嘔吐物や便は適切に処理することが大切です。ノロウイルスの場合、アルコール消毒では効果が限定的なため、次亜塩素酸ナトリウム(漂白剤)での消毒が効果的です。

薬局で買える薬は効果がありますか?

下痢止めは症状を一時的に和らげますが、ウイルスや細菌を体外に排出する自然な反応を妨げる可能性があります。軽症の場合は使用を控え、水分補給と安静で様子を見ることをお勧めすることが多いです。整腸剤や経口補水液は症状改善に役立ちます。ただし、血便がある場合や高熱が続く場合は、市販薬に頼らず医療機関を受診してください。

いつから普通の食事に戻せますか?

嘔吐が止まり、水分摂取ができるようになったら、おかゆや柔らかく煮たうどんなどの消化の良い食事から始めてください。徐々に食事内容を普通に戻していき、脂っこい食事や刺激物は症状改善後1週間程度は避けることをお勧めします。食欲が戻り、普通便が出るようになれば通常の食事に戻して構いません。

仕事や学校はいつから復帰できますか?

厳密なルールはありませんが、症状が改善し発熱がなくなってから24時間程度経過していれば復帰可能と考えられます。ただし、食品を扱う仕事や医療従事者の場合は、職場の指示に従ってください。可能であれば、症状改善後も2〜3日は自宅で様子を見ることをお勧めします。無理な早期復帰は再発のリスクを高めるため注意が必要です。

まとめ

胃腸炎は身近な疾患ですが、適切な診断と対処により安全に回復できる病気です。典型的な症状である腹痛、下痢、嘔吐が現れた場合は、まず危険なサインがないかセルフチェックを行いましょう。

血便や激しい腹痛、意識障害などの症状がある場合は直ちに医療機関を受診し、軽症であっても3日以上症状が続く場合や水分摂取が困難な場合は早めの受診をお勧めします。自宅療養では水分補給と安静が基本となり、家族への感染予防も忘れずに行ってください。

症状や経過に不安がある場合は、一人で判断せずに医療機関にご相談ください。適切な診断と治療により、安心して回復への道のりを歩むことができます。

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